介護職員処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、平成23年度末までの間、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を交付するものです。
交付金見込額を上回る賃金改善計画を事業年度ごとに策定し、職員に対して周知した上で都道府県に申請を行い、承認が得られれば、介護職員の賃金改善のための資金が介護報酬とは別に毎月自動的に交付されます。
原則として指定基準上の介護職員、介護従業者、訪問介護員等として勤務している職員が対象です。
※ 訪問看護など、人員配置基準上介護職員のいないサービスは対象外となります。
キャリアパスに関する要件
介護職員の能力、資格、経験等に応じた処遇を行うことを定めていただくこと。(キャリアパスを賃金に反映することが難しい場合は、資質向上のための具体的な取組を行うことで可とするなど小規模な事業所向けの配慮も行っています。)

介護職員処遇改善交付金ができた背景
高齢化の進展に伴い、介護ニーズが増大するなかで、サービス提供を担う介護人材を確保することは重要な課題です。しかしながら、介護職員については、離職率が高い、人材確保が難しい等の状況にあり、これは介護職員の賃金が低い等の処遇の問題が一因であると考えられます。
一般労働者の男女比、平均年齢、勤続年数及び平均賃金

上記のような状況をふまえると、他の業種との賃金格差を縮め、介護における雇用を安定させることにより、優秀な人材を確保していくことが重要です。こうしたことから介護職員の処遇改善を進めていくことを目的とした「介護職員処遇改善交付金」が創設されました。
介護職員処遇改善交付金
(1)目的
21年度介護報酬改定(+3%)によって介護職員の処遇改善を図ったところであるが、他の業種との賃金格差をさらに縮め、介護が確固とした雇用の場としてさらに成長していけるよう、介護職員の処遇改善に取り組む事業者へ資金の交付を行うことにより、介護職員の処遇改善を更に進めていくこととする。

(2)交付方法
(1) 都道府県が基金を設置して実施する。
(支払いは国保連に委託)
(2) 財源:国費10/10
(3)事業規模合計約3,975億円
<介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円の賃金引上げに相当する額>
※21年度は地方における準備等を勘案し、21年10月サービス分から実施し、2.5年分を予算計上
会計処理
請求書を発行した段階で未収金を計上し、全額を収益に計上するため、給与手当等に含め、既支出額のみが費用に計上されることになります。
事業年度交付金事業の年度区分は、当該年の4月から翌年3月支払分まで(12ヶ月)としその交付金の額の根拠となる介護サービスは原則として、当該年の2月から翌年1月までに提供された介護サービスとなります。
実績報告及び返還の会計処理
精算時返還の仕訳
期末までに返還額が確定し支出する場合
(補助金収入)○○○/(現金預金)○○○
期末までに返還額が確定するが翌期になる場合
(補助金収入)○○○/(未払金)○○○
未執行助成金の会計処理
3月末まで(12月~3月)に収入に計上した交付金額のうち3月末まで(1月~3月)に賃金改善額として支出していない額。
※賃金改善実施期間が満了していない執行残をそのままにしていると、当期の事業活動収支差額になってしまうので、決算整理として未執行助成金を「前受金」として処理します。
(決算期)
(補助金収入)○○○/(前受金)○○○
(翌期の期首振替)
前受金に計上する理由
国保連に請求した段階で、未収金に計上し、全額を収益に計上するため、既支出額のみが費用に計上されることになりますが、この場合には未執行額が上記で説明したように当期収支差額となり、翌期における執行時に損失に計上することになり、適正な処遇改善の状況を示さないことになります。
このため、処遇改善交付金が精算期間終了後に未執行であれば、返還する取扱いとなっているため、「前受金」で処理します。
(前受金)○○○/(補助金収入)○○○
通常の会計処理
請求時
(未収金)○○○/(補助金収入)○○○
入金時
(現金預金)○○○/(未収金)○○○