税の種類
税は、大きく分けると、所得に対する税、消費に対する税、資産等に対する税があります。

税目別の税収の推移

法人税
法人税とは、法人(株式会社・有限会社など)が得た利益に課税される税金のことで、日本の租税体系の中心となる国税です。介護事業者が法人(会社)である以上、とても関係の深い税金です。
事業年度
いつからいつまでの期間について、課税されるのかは重要なことです。所得税の場合は、暦年課税(1月1日から12月31日まで)ですが、法人の場合は、原則として、定款や法令で定められた「営業年度」・「会計年度」により計算し課税されます。これを「事業年度」といいます。
法人の所得金額の計算
法人の所得金額は、当該事業年度の益金の額から損金の額を控除して計算します。
当該事業年度の所得金額=益金の額-損金の額
益金とは?
取引によって生ずる次の収益です。
・介護サービスを提供したことによる収益 (利用者負担分も含みます)
・固定資産、有価証券等の資産の譲渡による収益 など
損金とは?
益金に対応する次の費用及び損失です。
・利用者に提供する食材の仕入れ代
・人件費など事業を運営するために必要な経費
・災害等による損失 など
普通法人の税率
○中小企業
・年800万円以下・・・18%
・年800万円超・・・ 30%
法人税確定申告書の申告期限・納付期限
原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付する必要があります。
消費税
消費税は、社会保障をはじめとする公的サービスの費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う上で、大きな役割を果たしています。
○ 消費税は、財・サービスの消費が行われることに着目して課税される税です。
○ 消費税の実質的な負担者は消費者ですが、納税義務者は事業者です。

(注)「税」、「消費税」には地方消費税を含みます。
消費税の税収が充てられる経費(地方交付税交付金を除く)の範囲は、予算総則において、「基礎年金」、「老人医療」、「介護」に限られています。
印紙税
印紙税とは、印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、課税される文書に対して課される税金です。印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印することにより納付します。
消費税及び地方消費税の金額が区分記載されている場合等の契約書、領収書
消費税が区分記載されている場合又は税込・税抜が記載されていることにより消費税額が明らかとなる場合には、「建物売買契約書」などの第1号文書、「工事請負契約書」などの第2号文書、「領収書」などの第17号文書について、その消費税額等の金額は記載金額に含めないこととされています。
(例)請負契約書において、
① 請負金額 1,050万円 税抜価格 1,000万円 消費税額等50万円 と記載したもの
② 請負金額 1,050万円 うち消費税額等50万円 と記載したもの
③ 請負金額 1,000万円 消費税額等50万円 計 1,050万円 と記載したもの
④ 請負金額 1,050万円 税抜価格 1,000万円 と記載したもの
⇒上記①~④は第2号文書に該当し、記載金額 1,000万円、印紙税額は1万円となります。
印紙税を納付しなかったときは
印紙税が課税される文書の作成者が、印紙税を納付しなかったときは、たとえ印紙税が課税されることを知らなかったり、収入印紙を貼り忘れた場合であっても、納付しなかった印紙税の額の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは 1.1倍)の過怠税が課税されます。
また、文書に貼り付けた収入印紙に所定の方法で消印をしなかったときは、その消印しなかった収入印紙の金額と同額の過怠税が課税されます。
なお、過怠税は、その全額が法人税の経費に算入されませんので、ご注意ください。
源泉所得税
所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
この源泉徴収制度は、支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものです。
この源泉徴収制度により徴収された給与に対する源泉徴収税額については、通常は年末調整という手続を通じて、精算される仕組みになっています。
源泉徴収をした所得税の納付
1.納付期限
源泉徴収をした所得税は、給与など支払った月の翌月10日までに納付しなければならないことになっています。
なお、この納付期限の日が、日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。
この納付期限までに納付されない場合には、延滞税や不納付加算税などを負担しなければならないことになります
2.納期の特例
給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者については、納付手続を簡単にするために、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税を次のように年2回にまとめて納付する、納期の特例の制度が設けられています。
1月から6月までに源泉徴収をした所得税額・・7月10日
7月から12月までに源泉徴収をした所得税額・・翌年1月10日
一定の要件を満たす者については翌年1月20日
納期の特例の適用を受けるためには、所轄税務署長に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受けることが必要です。
法人県民税・事業税(神奈川県の場合)
この税金は、県の仕事に必要な経費を広く県民のみなさんにその能力に応じて負担していただくもので、法人に課税される法人の県民税と利子等の支払を受ける者に課税される県民税利子割とがあります。
納める人
①法人県民税=法人割+均等割
県内に事務所・事業所がある法人です。
→均等割と法人税割
県内に事務所・事業所はないが、寮・宿泊所・クラブなどがある法人
→均等割
均等割・・・資本の額により決まります。(1参照)
法人割・・・法人税の税額×税率(2参照)
神奈川県における法人県民税・事業税の税率及び地方法人特別税の税率
(平成20年10月1日以後に開始する事業年度分用)
1.法人県民税均等割
区分 |
税率 |
資本金などの額が1,000万円以下の法人など (法人県民税均等割2万円の法人のとおり。) |
年額 20,000円 |
資本金等の額が1,000万円を超え1億円以下であるもの |
年額 50,000円 |
資本金等の額が1億円を超え10億円以下であるもの |
年額 130,000円 |
資本金等の額が10億円を超え50億円以下であるもの |
年額 540,000円 |
資本金等の額が50億円を超えるもの |
年額 800,000円 |
②法人事業税
県内に事務所・事業所を設けて事業を行っている法人です。
事業税=所得金額または収入金額×税率(2参照)
2. 法人事業税・地方法人特別税・法人県民税法人税割
法人事業税 |
地方法人特別税の税率 |
法人県民税法人税割の税率
|
区分 |
税率 |
A及びB以外の法人 |
資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人又は公益法人 |
所得割 |
所得のうち年400万円以下の金額 |
2.943 (2.7)% |
基準法人所得割額の81% |
5.8(5%) |
所得のうち400万円を超え年800万円以下の金額 |
4.36 (4.0)% |
所得のうち800万円を超える金額及び清算所得 |
5.777 (5.3) |
本県と他の2以上の都道府県とにおいて事務所等を設けて事業を行う法人で、資本金の額又は出資金の額が1,000万円以上のもの |
5.777 (5.3) |
資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人(公益法人等を除く) |
所得割 |
所得のうち400万円以下の金額 |
1.68 (1.5) |
基準法人所得割額の148% |
所得のうち400万円を超え年800万円以下の金額 |
2.464 (2.2) |
所得のうち年800万円を超える金額及び清算所得 |
3.248 (2.9) |
本県と他の2以上の都道府県とにおいて事務所等を設けて事業を行う法人 |
3.248 (2.9) |
付加価値割 |
0.504 (0.48) |
- |
資本割 |
0.21 (0.2) |
- |
A 特別法人 |
所得割 |
所得のうち年400万円以下の金額 |
2.943 (2.7) |
基準法人所得割額の81% |
所得のうち年400万円を超える金額及び清算所得 |
3.924 (3.6) |
|
特定の協同組合等の所得のうち年10億円を超える金額 |
|
4.687 |
本県と他の2以上の都道府県とにおいて事務所等を設けて事業を行う法人で、資本金の額又は出資金の額が1.000万円以上のもの |
3.924 (3.6) |
|
特定の協同組合等の所得のうち年10億円を超える金額 |
|
4.687 |
B 収入金額を課税標準とする法人の収入割 |
0.763 (0.7) |
基準法人収入割額の81% |
備考
- 1. 基準法人所得割額及び基準法人収入割額率によって計算した所得割額及び収入割額を言い、標準税率とは法人事業税の税率欄()書きの税率です。
- 2. [特別法人]とは、農業協同組合、消費生活協同組合、信用金庫、医療法人などを言います。
- 3. [公益法人等]には、人格のない社団等、投資法人、特定目的会社などを含めます。
- 4. 表中()書きは、不均一課税対象法人に適用される税率で、その法人の範囲は、裏面の[中小法人に対する不均一課税について]のとおりです。
- 5. [清算所得]に係る税率は、平成22年9月30日以前に解散した法人に対して適用されます。
法人市民税(横浜市の場合)
区内に事務所や事業所がある法人に対しては、個人の市民税と同様に均等割と法人の所得に応じて課される法人税額をもとに課する法人税割とがあります。
均等割
資本金等の額による法人等の区分 |
「横浜みどり税」含む税率(年額) |
標準税率(年額) |
○平成21年4月1日から平成24年3月31日までに開始する事業年度分で、法人税額が課税される場合 |
○平成21年3月31日までに開始する事業年度分 |
○平成25年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度分 |
○平成21年4月1日から平成24年3月31日までに開始する事業年度分で、法人税額が課税されない場合(※1) |
|
○平成26年4月1日以降に開始する事業年度分 |
従業者数50人以下 |
従業者数50人超 |
従業者数50人以下 |
従業者数50人超 |
下記以外の法人 |
54,500円 |
130,800円 |
50,000円 |
120,000円 |
1千万円を超え1億円以下である法人 |
141,700円 |
163,500円 |
130,000円 |
150,000円 |
1億円を超え10億円以下である法人 |
174,400円 |
436,000円 |
160,000円 |
400,000円 |
10億円を超え50億円以下である法人 |
446,900円 |
1,907,500円 |
410,000円 |
1,750,000円 |
50億円を超える法人 |
3,279,000円 |
3,000,000円 |
法人割
法人税割額=法人税額 × 税率
税率は次のとおりです
法人の区分 |
税率 |
資本金の額若しくは出資金の額が10億円以上の法人又は法人課税信託の受託者 |
14.70% |
資本金の額又は出資金の額が5億円以上10億円未満の法人 |
13.50% |
資本金の額又は出資金の額が5億円未満の法人 |
12.30% |
固定資産税(横浜市の場合)
固定資産税は、土地・家屋(住宅、店舗、工場、事務所等)・償却資産(事業のために用いている構築物・機械等)を対象として、毎年1月1日現在に所有する方に、その価格に応じて納めていただく税金です。
都市計画税は、都市施設の建設・整備などの都市計画事業に充てるため、市街化区域内の土地・家屋を所有する方に固定資産税とあわせて納めていただく税金です。
納付税額=固定資産税+都市計画税
税額=課税標準額×税率(固定資産税1.4%、都市計画税0.3%)
免税点
同一区内で同一の人が所有する固定資産に係る固定資産税の課税標準額の合計が、次に掲げる額未満の場合には、固定資産税がかかりません。
土地 : 30万円、家屋 : 20万円、償却資産 : 150万円
納期
第1期 4月
第2期 7月
第3期 12月
第4期 翌年2月
償却資産税
固定資産税の対象になるものとして、土地・家屋の他に“償却資産”というものがあります。
償却資産とは?
償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額又は減価償却費が経費に参入されるものをいいます。
事業の用に供するとは
「事業」とは、一般に一定の目的の行為を継続、反復して行うことをいい、必ずしも営利又は収益そのものを得ることを直接の目的とすることを必要とはしません。
また、「事業の用に供する」とは、現在事業の用に供しているものはもとより、遊休、未稼動のものも含まれますが、いわゆる貯蔵品とみられるものは棚卸資産に該当するので、償却資産には含まれません。
具体的には…
・会社等で工場や商店、事務所などを経営している場合の機械類、事務機器類など
|
所得時期 |
取得価額 |
国税の取り扱い |
固定資産税(償却資産)の取り扱い |
(ア) |
平成元年3月31日までに取得の資産 |
10万円未満 |
損金算入 |
申告対象外 |
減価償却 |
申告対象 |
10万円以上 |
減価償却 |
申告対象 |
(イ) |
平成10年3月31日以前に開始された事業年度に取得の資産( (ア)の資産を除く) |
20万円未満 |
損金算入 |
申告対象外 |
減価償却 |
申告対象 |
20万円以上 |
減価償却 |
申告対象 |
(ウ) |
平成10年4月1日以後に開始された事業年度に取得の資産 |
10万円未満 |
損金算入 |
申告対象外 |
3年間一括償却 |
申告対象外 |
減価償却 |
申告対象 |
10万円以上20万円未満 |
3年間一括償却 |
申告対象外 |
減価償却 |
申告対象 |
20万円以上 |
減価償却 |
申告対象 |
※ 租税特別措置法の規定により、中小企業者等が取得価額30万円未満の原価償却資産の合計額300万円までを損金算入した場合でも、固定資産税は申告の対象となります。
※ なお、ア、イとも、所有権移転外ファイナンスリース取引の賃貸人が所有するリース資産で、取得価額が20万円未満のものは申告対象になりません。